読んでみると、やはり人間力みたいなところの向上が必要なんだろうなぁと思ったのでした。どんなに大人数でも、ひとりひとりが人間だという配慮と、ケアが基礎であり、重要。
著者の谷益美さんがエピローグで
「人間関係をどう作るか長い間悩み、いろいろなことを試していたが、20代後半でコーチングやファシリテーションというスキルに出会ったとき、自分が試行錯誤でやってきたことが、体系化されているのに安堵したことを覚えています」
と話していたところが心に残りました 。 わたしも何か知って安心したいから本読んで勉強してるんだったーと認知してほっとしたような気分になりました。
- 読書期間
2017/01/31〜2/2 - きっかけ
プロジェクトを進める立場になってミーティングが増えてきた背景があり、コミュニケーションを円滑にしながら全員納得感を持ちながらうまく進めるにはどうしたらいいかしらと思ったので読みました。
要点
以下、大事と思ったところの要点メモです
ファシリテーションスキルとは
- 引き出してまとめること
- 人が集まるところにファシリテーションあり
まずは現状把握
- ファシリテーションはチームを上手に動かすこと、それをする前にまずはチームの現状把握
強い職場をつくる12の質問リスト(ギャラップ社の調査より)
Q1 仕事の上で自分が何をすべきか,要求されていることがわかっている
Q2 自分の仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具類が揃っている
Q3 毎日最高の仕事ができるような機会に恵まれている
Q4 最近一週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがある
Q5 上司や仕事仲間は、自分を一人の人間として認めて接してくれている
Q6 仕事上で自分の成長を後押ししてくれている人が誰かいる
Q7 仕事上で自分の意見が尊重されている
Q8 会社のミッション/目的を前にして自分自身の仕事が重要だと感じられる
Q9 仕事仲間は責任を持って精一杯クオリティの高い仕事をしている
Q10 仕事仲間に誰か最高の友だちがいる
Q11 最近半年間で、自分の進歩に関して誰かと話し合ったことがある 仕事の上で学習し、自分を成長させる機会を与えられたことがある
(最初の方が重要度が高い)
ファシリテーティブリーダー(チームの活動と成果を促進する)になるための12の質問リスト P40
Q1 メンバーに何をすべきか、何を期待しているのかを伝えている
Q2 チームが仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具を整えている
Q3 メンバーそれぞれに、毎日最高の仕事をする機会を与えている
Q4 この1週間のうちに、メンバーの仕事の成果を認めたり、褒めたりした
Q5 メンバーを一人の人間として気にかけていることを伝えている
Q6 メンバーの成長を応援し、後押ししている
Q7 メンバーの意見を聞き、尊重している
Q8 会社のミッション/目的のために、メンバーの仕事が重要だと伝えている
Q9 メンバーの仕事ぶりを把握し、クオリティの高い仕事をするよう促している
Q10 チームメンバーの人間関係を把握している
Q11 この6カ月のうちに、メンバーの進歩について話す機会を持った
Q12 この1年のうちに,メンバーが仕事について学び,成長する機会を作った
個別対応のコツ
ファシリテーションの基本は、全体を見ながら、実際にはメンバーに合わせて個別対応すること
相手を知ること。目配り、対話、またそれらのタイミング。
「みる」の五段活用
状況と相手によって使い分けること。
- 見る→ 視界に入れる
- 視る→ 注意して「みる」
- 観る→ 観賞する。時間経過による変化も合わせて「みる」
- 診る→ 観察する。症状として、何が起きているのかを「みる」
- 看る→ 看護する。相手のケアをする
相手がどういう状況か把握するために以下を整理する
- その場で出したい成果は何か
- そのためにメンバーから引き出さなければならない要素は何か
- 引き出すためにどんな質問を活用するか
付き合いづらいひとに対して質問するときの言葉の選び方
- 「実はやる気ないんじゃないの?」→「テンション上がるのって、どんな仕事?」
- 「俺ってエラいとか思ってんじゃないの?」→「私がレベルを上げるために、何すればいいかなぁ?」
- 「私のこと嫌いなんじゃないの?」→「一緒にやる仕事の進め方で改善したほうがいいことってある?あったら教えて」
どんどん話したくなる雰囲気づくり
- メンバーがなかなか発言しないのは、聞き手の不在が理由→聞いてる態度を見せる
- 目に見える反応や、言葉で相手の話を促す、相手の言葉を繰り返して確認する
- うなずき、相づち、繰り返し
相手を見極める
- 細かすぎる個別対応は難しいが、ざっくりと大きな傾向を知っておけば使える。優劣はなし。それぞれの強みを活かす。
ソーシャルスタイル4つ
①ドライビングタイプ (自己主張:高/感情表出:低)
- 丸投げ大好き、黙って俺についてこい、完璧主義、
- よい聞き方は「教えてくれますか?」「あなたならどうしますか?」
②エクスプレッシブタイプ (自己主張:高/感情表出:高)
- 場を盛り上げるムードメーカー。お調子者で人気者。
③エミアブルタイプ (自己主張:低/感情表出:高)
- 平和と協調が一番。皆さんのおかげです。縁の下の力持ち。困っていても言えない。リーダーにされるのは困る。
- よい聞き方は「いつも助かってますありがとう」「本音を教えてください」
④アナリティカル (自己主張:低/感情表出:低)
- 調べてからお答えします。いつも冷静、分析好き。正確さを求められることが好き。計画は実行する前にとことん検証。
- 効果的な対応は、時間を与えて考えてもらうこと。「次の会議までにまとめておいてください。」
場所について
一対一のとき
- 気軽にやるなら相手のホーム(相手のデスク)へ
- イスを引き寄せて、目線の高さを合わせる
- 向かい合うよりハの字
チーム全員の時
- デスクそのままのときは、PCを閉じる
- 立ったままのバースタイルは疲れやすい立ちっぱなしを逆手にとった時短の仕組み
- 会議室を使う→執務室を離れると気分も変わる
時間について
- 始まりは時間厳守で。遅れる人があっても始めてしまう。遅刻者を待つと時間を守らない文化ができてしまう。
- 終わりも時間厳守。大体の議題と必要時間を読むスキルが必要
- 終わり時間で一旦中断して延長してもいいかみんなに確認する
- 大佐な約束を大切にする文化がチームの空気を作る
道具について
ホワイトボードの使い方
- まずはこれだけ書く
① 会議タイトル
② 本日のテーマ
③ 日時(開始時刻と終了時刻)
④ 参加者名
⑤ 本日の議題と出したいアウトプット(議題にはチェックボックスを入れて結論が出たら可視化)
- ホワイトボードを使うハードルが高い場合は、会議が始まる前に書いておく
ホワイトボードを使えば目線が上がり対話が始まる。手元に資料があるとそちらを見がち
書くときのコツ
- 発言者や会場全体と対話しながら、みんなの代わりに確認しながらメモを取る、というイメージで。
- 齟齬や誤解がないように、必ず発言者に「これでいいですか?」と確認しよう(発言を丁寧に扱ってくれる場だという安心感)
コツや対処法
脱線対処法
- 脱線したとしても、本人が言わなくてはと考えての発言
- 今の議題とは違う内容だなと思ったら、「とても大切なご意見ですが、今の議題とは違うので、ここに残しておきますね」と添えてメモをホワイトボードのはじのスペースへ
- ホワイトボードが埋まってきても基本消さない
意見や気づきを引き出す質問のコツ
リーダーの質問力が重要
ポイント
定番フレーズ
- 具体的にいうと?
- 他には?
結論が出ない理由と出す方法
- 議論前にゴールを決める。具体的な数字だとよりいい
- 企画の目的を共有。空回りの議論を防ぐ
- 必要なデータを揃えておく
- 人は忘れやすいので今日決まったことを確認する
- 締め切りも担当も決めた、だけではダメ。今後の情報共有の仕方を個人に合わせて(丸任せされたい人、細かいケアがされたい人)やる
会議の性質
①選択集中型 →そこで今決める
決定権を持った人、経営会議、予算会議
②発散集約型 →みんなで考えて決めよう
意見やアイデアを引き出してまとめるまさにファシリテーティブリーダーの腕の見せ所
③発散共有型 →みんなどんなこと考えてる?
ブレストやワールドカフェ。否定せずにどんどん広げること
④情報周知型 →みなさんにお知らせ
情報発信者の決まっている一方通行の会議。メールや書面で済ませることも。
決め方を決める
①リーダーの決断 →責任はわたしが取る
不満の声が上がりやすいので信頼関係が試されるところ。最初にリーダーが決断することを伝えておく。
②多数決 →多い方に決める
気軽だがリスクがある。一票の重みが一緒になってしまう、意見が割れて僅差で決まると後で議論が必要
メンバー全体に意見をはっきり決めさせるということでもある
③一定の基準で評価 →これなら実現できるよね
効果性と実現性のふたつの視点を軸に絞る
その他
- 会議の目的に合わせた机の配置にも気をつける。
- フレームワークを使ってみる
関連ありそうな本とか記事とか
「まとめる」というのは、ひとつひとつからパターンを見出して抽象で捉えるというのも必要そうなので、この本読むと補足になるかもと思いました。
- 作者: 谷益美
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2014/07/22
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