19歳から愛用していたイームズサイドシェルチェアのベースが壊れた話

19歳の頃から長らく愛用していた、サイドシェルチェアの脚が壊れました。脚のみ新たに購入して交換することで、新生したという話です。

突然の破壊音

毎日毎日、ここに座っている。自室もあるけれど、リビングやキッチンに近いこの場所がお気に入り。床暖房は暖かいし、猫がいるし。この写真にあるように、ゲームをしたり、PC作業をしたり。

ところが、ある日いつものように座っていたら、バキッと大きい音がして、自分が床に沈んだ。何の予兆もなく、あまりにも唐突で、一瞬何が起こったのか理解できなかった。

なんと、シェルとベースを繋ぐ金属が金属疲労で割れたらしい。脚の接点が4点あるうち2点が割れたので、もう座るのが危なそうだ。
ちなみに、19の頃から体重はほぼ変わっていないため、最近太ったせいで、とかではない(もともと太いので歳重ねても変わらぬ)。椅子自体の老朽化でしょう。

お尻側の2点(白い円の箇所)が割れました

割れ…

割れ………

この椅子は思い出深い。
19歳の時、謎の家具屋でイームズのサイドシェルチェアだと思って買ったもの。たぶん後日、よく見てみたらリプロダクトっぽかったと気づきました。えええ…、高かったのに…。 それから十数年、たびたび引っ越しをしたり、転職や結婚をしても、ずっとずっと愛用し続けてきた椅子でした。とにかく、ずっと一緒だった。安物だと知りつつも、それを理由に雑に扱ったりせず、大切に使ってきた。

写真にもあるように、捨てたくないので、植物置き場として使ったりしてみた。なんかしっくりこないけど。

寂しいな。

ベースだけ買い直そうと調べましたが、正規品ではないし、出所不明なのでマウントが合うかもわからずで二の足。溶接するか…?

脚の交換を試みる

いや、植物置き場になっているこの子を眺めて暮らすのは嫌だ。もう一度座りたい。そもそもシェル(背もたれと座面の部分)は壊れてないのだから、やっぱり脚だけどうにかならないか?レプリカ脚がいけるのかいけないのか。そこが問題だ。

ヴィンテージ正規品アームシェルチェアの脚をはめてみたが、ダメだった

以前入手した、ヴィンテージのアームシェルチェア。キャッツクレイドルベースですが、もしこの正規品の脚が入るなら、レプリカ脚も入るのでは?と思い、試してみました。

8saki.hatenablog.com

結果入らず。まさか…。いけると思ったのにな。

正規品のベースを仮に当ててみるものの、横はどうにかなりそうだが前後が5mm程度の差があり、だめそう。

もともと一体だった正規品のシェルとベースはもちろんピッタリ

このヴィンテージアームシェルチェアの製造が、モダンファニチャーセールス(ハーマンミラージャパンの前身となる会社)だから、微妙に違うのでは?という予想になりました。

レプリカエッフェルベースの寸法を問い合わせる

であれば、やはりレプリカのエッフェルベースの購入を現実的に進めることとなります。

これは正規品のレプリカで、

ハーマンミラー社製エッフェルベースの1st modelを忠実に再現したレプリカの新品

とあるように、ハーマンミラー社の正規品イームズベースの中でも 1st や 2ndなどいくつかアップデートを経て形状の差があるようです。
(Vanillaさんのマニアックな読み物が勉強になります。 イームズチェア ヴィンテージと現行モデル徹底比較 | インテリアショップvanilla

NICK WHITEさんにエッフェルベースの細かな寸法について尋ねたところ、とても丁寧に返信をくれました。

寸法は穴の中央から穴中央の長さです。数ミリ程度は脚を曲げることで調整可能かと思います。

とのことです。これは期待。寸法をまとめると、

アイテム 前方 (mm) 後方 (mm) 前後 (mm)
🦵 レプリカエッフェルベース
(NICK WHITEさん問い合わせ結果)
185 120 175
🪑 アームシェルチェア
(モダンファニチャージャパン)
192 123 180
🪑 サイドシェルチェア
(リプロダクト・壊れたやつ)
188 120 175

あれ。むしろヴィンテージ正規品であるアームシェルチェア(モダンファニチャージャパン) のほうが、寸法的には遠くて入らなそうな気がする。逆に、このレプリカエッフェルベースなら、わたしのリプロダクトサイドシェルチェアに入りそう。

購入する

入るような気がしてきたので、早速購入。エッフェルベースも憧れがあったので、思いもよらぬタイミングで購入するきっかけができ、悲しいが嬉しい。

届きました

華奢で素敵な脚。

無事入りました

ビスは金属疲労で処分となったウッド脚にもともとついていたものを使用。

無事入りました。

取り付け部分の穴が大きめで、想定よりも調整がきく感じだった。ビスの頭が抜けそうなので、ナットは必須な気がする。
加えて、エッフェルベースの構造として、金属線の各接点が点で溶接されているような作りになっているため、多少は歪ませることができる。つまり、無理やりはめることができる。あんまりに過度な力が加わるような状態だと、壊れそうなのでNGですが。

  • 取り付け部分の穴が大きいこと
  • 構造上、多少歪ませても大丈夫なこと

こういった調整の余地があり、無事に組み立てることができました。

どうだ!1◯年の時を経て、新生!

めちゃくちゃいいじゃないの。

輝くエッフェルベース。

足先はメダルのようで、丸く磨かれているので適度に滑るし、傷がつかなくよい。

ギシギシいわず、しっかりと支えてくれるような安定感で、今まで以上に頼もしく感じる。座るのが気分いいです。

シェルはまだまだまったく壊れる気配ないので、もっと何十年も使いたいな。