2024年11月上旬、「田名網敬一 記憶の冒険」を見に行きました。
- 場所
- 国立新美術館(六本木)
- 会期
- 2024年8月7日(水)~11月11日(月)

実は田名網敬一さん、わたしと苗字が同じなのです。
こんなめずらしい苗字にあんまり遭遇することないので(しかも非常に有名なアーティスト)ずっと昔から気になる存在でした。
田名網敬一さんも、「網(あみ)」と「綱(つな)」を頻繁に書き間違えられて、困ったりしたのだろうか。
田名網敬一さんは1936年東京生まれ、わたしの祖父は1920年代生まれ、父は1950年代生まれで、みな東京。だからなのか、なんとなく赤の他人とは思えない気がしてしまう。体型や顔立ちも我が家系に雰囲気が似ているような気がして、一般人の勝手な妄想ながらも、どこか特別な思いを抱いていました。
過去にも何度か「ご親戚の方ですか」と聞かれ、「違います」と返すことがあった。まあ、この苗字めずらしいけど全国に2,000人以上いる(参考)らしいし、違うでしょう。ちょっと今の、聞かなかったことにしてください。
展示はすべて撮影OKとのこと。写真は、私的な利用はOK、ブログやSNSに上げる際は肖像権に配慮、とのことでした。
膨大な量の展示で、たくさん写真を撮ったけど、ブログで見るよりぜひ直接見にいくとよいと思うのであんまり載せすぎないようにします。
気になった作品
気になった作品と所感などを書きます。
線画が星新一さんの挿絵の真鍋博さんみたいで好き。右側の顔のない男性はご自身だそうな。


このあたりの画風が一番好きかも。

灰皿と鳥さん好き

雑誌のお仕事。「PLAYBOY」の初代アートディレクターだった頃。


絵の端に描かれたサインが変わっていくのが、なんかいいなと思った。作家として生きていく上でサインは変わってはいけないものだと思い込んでた部分だけど、別にそんなの気にしないという感じで。
家具すごい。色もすごい。赤と濃い青いいな。この展示を通して、区画ごとに壁の色のテーマみたいなのがあったんだけど、どの色もよかった。この部屋も家具の色を引き立てていて素晴らしい。

こういう、視神経にビリビリくる青が好きだ。

コロナ時期に行なった大量のピカソの模写がすごかった。すごい量だ。つべこべ言ってないで手を動かせ、という感じだ。
どうしてもものづくりをしていると、新規性のある独自なものを生み出さないととプレッシャーを感じるものだけど、こうやって自分の世界が確立した後も、過去の偉人の作品を見直して直接影響を受けたりしてもいいんだなと思えた。

この動物みたいなナメクジみたいなものかわいい。

わたしの好きなジョルジョ・デ・キリコ オマージュのものも。

立体作品。平面の情報量もすごいけど、立体になってこの雰囲気だとすごい迫ってくるものがある。立体作品の表面は、マットで滑らかな質感が上質だった。


ファッションブランドとのコラボもいい。煌びやか。


このネオンサインすごくきれいだった。見たまま撮れてうれしい。

開幕2日後に亡くなられたのを聞いて、大変驚きました。本当に残念です。

88歳で亡くなるまで、ずっと雑誌や絵や映像、コラージュ、家具を幅広く作り続けていて、どれもご本人らしさが出ているのが本当にいいなと思う。対象が何であれ、その人らしさって自然と出てしまうものなんだなと感じました。
生きている中で、考え方が根本から変わる瞬間なんて誰にでも何度かあると思うけど、それがあっても結局その人らしくなってしまう。そのことに、どこか励まされた気持ちになった。
ショップ
ショップ。ワッペンかわいかった。

アディダスの箱かわいい。さっきの立体タコさんと同じ目だ。

BEAMSコラボ。

カフェで軽食
観終わってお腹が空いたので、国立新美術館のテラスでサンドイッチを食べました。田名網敬一さんの作品の数々を見て「赤色ってきれいだな」って頭になってて、このトレーの艶にグッときてた。

外でじっとしてるとちょっと冷えるけど、太陽が出ていてポカポカしてた。テラスでのんびりできるような秋はもう今日くらいまでかもしれないな。

国立新美術館は美しい
国立新美術館の建物も好きなので、撮って回りました。









図録を買いました。
展示されていた作品が載っているのでじっくり見られるし、インタビューや略歴などの読み物もかなり多かったので面白かった。

おしまい
エロ・グロ・サイケデリックなものはじつは苦手で、見ると頭がぐるぐるして元気がなくなってしまうことがあったけど、今回はこの大量の作品と生命力に圧倒されずに見ることができた。
最近は気持ちが元気だったのかもしれない。(先月は胃潰瘍寸前だったけど。)
田名網敬一さんが、「自分は長男なのに母に反対されたアートをずっとやっているから、今でも絵を描くときにどこか後ろめたさを感じる」と、どこかのインタビューで語っていたのを見かけた気がします。どれだけ大人になっても、立派な功績があっても、家族にまつわるこうした苦悩みたいなものは消えないものなんだなと思いました。
そして、40代で大病をしてから、ずっと死について考えているとも言っていた。わたしもそうです。生きること死ぬことってなんなのだろう、宇宙ってどうなってるんだろう、どういう仕組みで我々は生きることになってるのだろう、等々と、幼少から興味があり思索してきたので、生死についてよく考えている人の作品が好きだ。
ここ数年で、親世代以上の好きな人たちがどんどん亡くなっていくのが寂しい。大瀧詠一さん、坂本龍一さん、KANさん、松本零士さん、楳図かずおさん。自分も(まだ若いけど)どんどん押し出されて剥がれ落ちていくのを待つような心細さがある。
田名網敬一さんが生涯にわたって大量の作品を作り続けてきた姿を見ると、規格外のエネルギーを持った方だったんだろうなと思いました。感性がしなびずに、いつもシャキッとしておられる感じがすごくする。
こちらの同姓 Tanaami もデザイナーをしていますが、カラフルなものは苦手で、落ち着くのは黒と白。こんがらがった社会についていくので精一杯で、そんなにエネルギーはありません。見習いたいものです。
作り出された作品の端々から、田名網敬一さんの生き様を感じ取ることができ、どこか励まされた気持ちになりました。
「年を取ると気持ちが楽になって落ち着く」という彼のインタビュー動画の言葉を胸に。
撮影機材
カメラ:SONY α7C II
レンズ:FE 35mm F1.4 GM
※ 通りすがりの人たちは個人が特定できないように必ずぼかしています。