〈House Bird〉のミニチュアをつくるべく、光造形3Dプリンタを使用して試行錯誤してみたメモです。
前回は熱溶解積層方式3Dプリンターを使いましたが、PETG樹脂の加工難しかったので、加工が楽なレジンで製作することにしました。
ハウスバード関連の記事は3回に分かれています
- ハウスバードのミニチュアをつくる【1/3】熱溶解積層方式3Dプリンタ編
- ▲ 加工が大変で、最終品にするのはあきらめた試作の回
- ハウスバードのミニチュアをつくる【2/3】3Dプリンタ光造形レジン編
- 💡いまここ
- ハウスバードのミニチュアをつくる【3/3・最終回】両面取りシリコン型レジンキャスト編
結果、研磨してサーフェイサーを塗装し、乾かしている間に大きな亀裂が入り、失敗してしまいました。
これを原型としてシリコン型をつくり、次回レジンキャストで最終品を作成することにしました。
この記事は、光造形プリンタで原型として完成するまでの記録です。
モデリングデータ
House Bird の 3D モデルはこちらから拝借しました。
印刷する
3Dプリンタは〈ANYCUBIC Photon Mono 4K 3Dプリンター〉
光造形用レジンは、アレルゲンが少なく、水洗いができる〈エキマテ〉を使用。色はグレーです。
洗浄に有機溶剤を使用しないので安全です。
▼ 印刷中の鳥さん。
支えのためのサポート柱が、昔千葉県にあった屋内スキー施設ザウスみたいだったので、そのへん出身のわたしとしてはちょっと再会のエモみがあった。
▼ できたてホヤホヤの鳥。足も印刷できました。すごく精度がいいです。
積層型のような積層痕は目立たないけど、モデリングの跡なのか、カクカクしています。 モデリングデータを修正したらカクカクはなくなるのかしらと考えたが、そこまでデータをいじる知識がなかったためそのまま印刷し、仕上がったものを頑張って研磨して滑らかにすることにしました。
内部の未硬化レジンを流し出す
中に残った未硬化のレジンを流し出すために、実は頭に3ヶ所穴を開けるようにデータを手直ししていて、穴が空いた状態で印刷完成しています。
一晩ほど逆さまにしたまま置き、中の未硬化レジンを出しました。
水で洗浄、二次硬化
▼ 洗って二次硬化した状態。
▼ 中にはトラス構造のような細かい柱が張り巡らされています。少しだけ透けて見える。
二次硬化はジェルネイル用のLED UV ランプに入れて照射します。片面2分くらいずつやってみました。
▼ ジェルネイル用のランプはこういうものです。うちのは48W。
▼ 前回の積層型のやつ(左の黒い鳥)よりもひと回り大きいです。
ちょっと大きい方が研磨しやすいのと、見栄えもよさそうだからです。
研磨する
2時間くらいかけて研磨し、滑らかにしました。足はカッターで切り取って一旦外します。
未硬化レジンを抜くために開けていた頭の穴もUVレジンで塞ぎました。
普段ジェルネイルを趣味としているので、紙やすりよりネイルファイルのほうがコントロールしやすいため、目が粗いうちはネイル用やすりを使ってました。
半円型ネイルファイルの 80/120番とか
スポンジのバッファは局面を滑らかに削りやすかったです。100/120とか120/180の種類を使用しました。
研磨の工程:
ジェルネイルのファイル(80)
↓
ジェルネイルのスポンジバッファ(100)
↓
ジェルネイルのスポンジバッファ(180)
↓
紙やすり(400)
↓
紙やすり(600)
↓
紙やすり(1000)の順番で磨きました。
塗装する、そして亀裂が入る
真鍮棒で足をつけて、サーフェイサーで下地を塗りました。一晩乾燥させます。
これで、本番塗装するぞと思った矢先、朝起きたら大きな亀裂が入っていました。
その翌日、さらに大きくなる亀裂。
たぶん、中に未硬化レジンや水が残っていて取りきれなかった状態のまま、研磨と塗装の刺激があったことが原因のようです。
もうこれを最終品にするのはキツと考え、別の方法を考えます。
これを原型にして、シリコン型をつくることにしました。最終品のレジンはもう少し強靭なやつを選びます。
亀裂を修復する
とりあえずヒビを直し、原型として美しく仕上げきるまでをやります。
ヒビはUVレジン〈REJICO ハードタイプ クリア〉で埋め、やすりで研磨して滑らかにします。
亀裂で1mm程度広がった分、鳥さんの横幅もビミョーに増えてそうですが、よくよく見てもプロポーションに影響なさそうだったので、無視できるものとしました。
(原型としては)完成
ガタガタに見えますが、指で確認するととても滑らかな曲面になりました。
次回、これのシリコン型をとります。
所感
光造形プリンタのレジンはもともと靭性が低く、とくに力が加わると割れやすいのかなと感じました。落としたりしようもんなら一発アウト…
エキマテのせいでは決してなくて、光造形プリンタのレジンがそういう性質であるという感じのようです。
夫も、バネを使うおもちゃのパーツにこの素材(今回とは色違いで、透明)を使用し、さあ使うぞと力を入れた途端に砕けて飛び散ってた、なんてことがあった(笑った)
レジンについて
- 光造形用のレジンは靱性(粘り強さ)が低い素材であるっぽい
- 靱性を強化した水洗いレジンもあるようです: SK本舗 高靭性水洗いレジン 3Dプリンター用レジン (500g, 灰色)_SK01UW
- エキマテは精度に定評がある。洗浄も簡単で扱いやすい。
- 光造形用のレジンは靱性(粘り強さ)が低い素材であるっぽい
工程の反省
- 中の未硬化レジンを抜ききれなかったので亀裂が入ったっぽい
- 洗浄が不足していたっぽい
- 二次硬化が不足していたっぽい
良かったこと
- UVレジンをパテ代わりに使う方法はやりやすくてよかったです。(長期的に劣化しそうな気がするんだけど見てないからわからないし、シリコン型取るからいっか。)
次で完成です。