FIX窓に取り外し可能な腰壁を自作する

FIX窓を一部塞いで、腰壁風の取り外し可能なカバーを作りました。

我が家は、高さ約2.4m × 幅約90cm の窓が5面あります。採光的に素晴らしいんですが、ちょっとイマイチと思うこともあり、変えてみたくなりました。

一面窓で、高さもある。真ん中3面はFIX

  • 腰壁を作ろうと思った動機
    • 窓が大きくて冬は寒い/夏は暑い
    • 窓が大きくて眩しい
    • 一面窓なので変化がなくつまらない
    • 窓前に家具を置くときの保護(焼け、衝突など)が欲しい

持ち家マンションですが、国土交通省の「マンション標準管理規約」によると窓のサッシや窓ガラスは共用部分となっているので、腰壁風カバーも簡単に取り外しできる構造にしました。

ガラス保護や焼け防止、寒さ/暑さ対策にもなって、かっこよくていい感じの壁ができました。

手順や道具の記録です。

計画をする

情報収集してまとめたり、設計したりします。

ちなみに設計図は、UIデザインを作る用のソフトウェア〈Figma〉で描いてます。
現実の1mm = Figma内の1pxにすると、寸法を把握しやすいので便利。
Figmaはこういう図面を書くためのソフトウェアじゃないのですが、仕事でよく使うツールなので、慣れていてなんでもFigmaでやりがち。

ダンボールで検証

腰壁を作りたい場所に仮説でダンボールを貼ってみて、実は不便じゃないかとか暗くなりすぎたりしないかなどを数日体験してみました。

(家族共用部のわりと大きめなDIYなので、住んでる人に「いまからDIYするんだなここを」とそれとなく示して納得してもらう目的もある。)

理想系の情報収集

素敵なヴィンテージ家具の Nick Whiteさん が好きで、お店もよく行っているのですが、その内装の腰壁がめちゃくちゃ好きなので、こんな感じで作りたい

https://www.instagram.com/nickwhitetokyo/

さらにイメージを固めていくために、自宅写真と雑コラしていきます。

うん、色も大きさも合いそうでいいな。

←現在(AsIs)、こうしたい(ToBe)→

設計図を描く

最初に設計図を緻密に描いておいて、あとの工程は見るだけ簡単にしておきたいので、いつものように Figma にいろいろ描いて整理していきます。 必要な道具や手順がこれ見てわかるので楽です。

寸法の図

先ほどの雑コラを頭に浮かべつつ、どれくらいの高さが良いか考えます。

椅子の背が当たっても大丈夫なように、とか、モールディング装飾をこのへんに入れようかな、とか。

窓サッシやブラインドの寸法も実寸を計測しながら、1mm=1pxで精緻に描いていきます。だんだん具体的になっていくと、どう作ればいいか明確になっていく。

Figmaで作成した腰壁の寸法

内側の間柱を18mm厚のラワンを貼り合わせて作ろうかな〜の設計図

モールディングの図

モールディングは矩形(四角とか長方形のこと)を組み合わせたシンプルなものにする予定。一部、ウェーブのカット加工が入った装飾的なやつを使いたい。

モールディング

必要パーツと木材の切り出し方の図

上記を踏まえて、必要なパーツの形状と個数をまとめる

必要パーツまとめ

さらに、必要パーツを一枚の板から切り出すとどうなるのかの検討

ラワンランバーコア 18mm厚 2430×1220 に収めるように並べる

これが木材カットの依頼書にも使えます。
図中の濃いグレーの部分は、細かすぎる加工なので自分でやる部分です。

よし、やっと木が買えるぞ〜

木材調達

板を買ってきました。同時にカット加工をお願いしました。

1カット80円だったのでカットにまあまあかかったけどいっか。プロに切ってもらえるなんてありがたすぎるのでね。

カットの依頼書はこんな感じ

台車でガラガラ持って帰ってきました

組み立て

間柱を加工

同じサイズの18mm厚板を2枚貼り合わせて、36mmの柱を作りました

サッシに合わせて角を切り欠く

凹凸の多いサッシに合わせて、木材も階段のような形状に切り欠きます。

設計図のこのあたりを作っていきます

指矩(さしがね)を使って、直角にきれいにアタリを描く。

鉛筆で線を引く

あとは丁寧に切るだけ。

こいつ切りやすいー!!!!ライフソー木工175

切ったら仮置きで確認。

おお…ぴったり…

ここもよき感じ

ヤスリで整え

バリをヤスリでざっくり削って整えました。面倒くさいので、よほどのささくれのみ。あとで塗膜厚めの塗装をするので、まあいいかと思っている。

仮置き

だいたい大丈夫そうだということを確認。

木枠の組み立て

木枠をL字の金具で固定していきます。

100均で買ったらだいたい直角じゃなくて悲しいんだけど ホームセンターで買ったL字金具はビキビキに直角なのうれしい。こんなものが簡単に手に入って本当にありがたい。

精度ーー!!

固定します。木材と木材が接するところはすべて木工用ボンドを塗りました。

下に敷いてあるのは前面の板ですが、今の段階では前面はくっつけず、木枠だけ作ります。実際に窓枠にはめてみて、歪みがないことを確認してから前面を固定するためです。

木枠できた

窓枠全体の飛び出しが2mmあることを考慮に入れてなくて、一旦解体して長さ調節してまた組み立てたりしてたら、時間がかかった。

木枠が完成しました。このあと、前面を貼っていく。

木枠だけではめ込んでみて建て付けを確認

サッシときれいに面一(ツライチ)になった

前面の組み立て

木枠が歪みなく完成したので、ようやく前面を固定します。

ネジはモールディングで隠れる部分に打ちました。

ステンレス スリムスレッド 太さ3.3mm × 長さ35mm HP-785

左側の壁には、サッシを隠すようにL字に回り込むパーツもつけます

左側の表裏

右側の表裏

前面を組み立てた状態で、再度窓に仮設置してみます。

あらいいんじゃないでしょうか…!
これで本体は完成。次の工程はモールディングの貼り付けです。

正面。窓枠に対しての中心線で1ミリ離したの見て…

ディテール精度まあまあがんばったから見て…

いつももっと雑なんですけどね、がんばったよ

窓ガラスからは5mm離したので、ガラスに木が当たることはなく、安全です。サッシで引っかかって、それより奥には進めない構造。

上側の板は3mm下げたので、コップ置いても滑り落ちないようにしました。

モールディング

モールディングに使用する小さめ・薄めの板を買ってきました。
ラワンを買ったのと同じホームセンターですが、この薄めの板は木材コーナーではなく、木工ホビー用品コーナーにありました。

ヒノキ材が多かった。

モールディングについて調べましたが、奥が深く、こういう重ね合わせで作るものなのかよくわからないまま揃えました…。あとで厚めに塗装するので、最終的に一体感が出て見えればまあいっかという発想です。

モールディングに必要な材料の詳細

基本的に四角いシンプルな板を組み合わせますが、一箇所だけウェーブの加工がされている本物のモールディング素材を買ってみました。この種類はamazonにのみ取り扱いがありました。

モールディングの角を45°に切る

これ結構難しくて一番厄介だった思い出…。角で回り込んできれいに見えるように、モールディングは端を45°に切る必要があります。

のこぎりガイドを買いました。これはツーバイフォー材用なので木の幅が合わないのですが、押さえればそこそこ使えたのでよいかな。

手鋸で直角や45°にカットするとき、こういう専用の品があるのに感心した

まあまあ上手くいった例

ボンドで貼っていく

カットできたら、ボンドで貼っていきます。
貼った木の端が浮いてくるので、クランプがあるといいです。これはレバーを何回か握るだけで締めていってくれるので、すごい使いやすかった。

ボロい…ボロいが、このあと木工パテで埋めることができるので、元気出す。

スキマだらけだよ…

足りないところは端材を足します。ガタガタだったり隙間があるのはあとで埋めるので、この時点では大丈夫。

数センチ足りないところは、余った端材を貼り付け。まあ、めっちゃ雑だな。

全体にモールディングを貼り終えました。

隙間を木工パテで埋める

このパテを使いました。木材の種類によって色バリエーションがあるのですが、上から塗装するのでなんでもいいと思います。

埋めたところ。砂っぽいペースト状なのであまりコントロールできず、表面がざらざらになります。あとで削って磨くのであまり気にせず。

ウッドパテ塗って半分くらい乾いたところ

乾燥するとちょっとだけ痩せるので、多めに塗っておくとあとあと良いです。足すのは面倒だが、削るのは楽なので。

次の日。乾いていたので、パテを削ってなめらかにしました。削りは #120→#400→#800くらい。ネイル用のネイルファイルとバッファを使うと、ラクで早かった。

パテ前とパテ後の見比べ。(撮影角度変わっちゃっててすみません。)

←パテ前 | パテ後→

←パテ前 | パテ後→

←パテ前 | パテ後→

雑を隠蔽できた!

これにてモールディングも完成。次は塗装だ!

塗装

部屋側は濃いグリーンにして、裏面の窓ガラス側はワトコオイルのエボニーにする。

前面をグリーンに塗装する

まずは前面から。例によって相棒Figmaにやりたい色などをまとめておき、イメージを固めます。
色をこの通りにするというのは結構難しいので、ここで集めた色サンプルをそのまま真似ようというのはせず、実際調色するときにしっくりくる色に着地させるつもり。この色イメージはあくまで目星です。

やりたい色の検討

調色して好きな色を作る

いつも「ミルクペイント」を使っていて、その「クロコダイルグリーン」がよさそうだったので使ってみます。

クロコダイルグリーンだけだと明るすぎると思ったので、ディキシーブルーとインクブラックを混ぜました。

配合は忘れてしまったので、同じような色にしたい場合はちょっとずつ混ぜながら様子見てみてください。

夜調色しちゃった(夜の照明は不自然なので、太陽光下が好ましい)けどたぶん自然光でもいい色だろうこれは。

調色のポイントは

  • 黒は本当に強い色なので、ちょっとずつちょっとずつ慎重に足す
  • 広範囲に塗られた色は明るく感じるものなので、容器内で混ぜているときは理想の色よりも濃い色にしておくと塗った時にちょうどよくなる

モールディング部分をハケで塗る

まずはモールディング部分をハケで塗ります。モールディング部分は凹凸が細かいのでハケが向いています。
なんかもうこれだけでめんどくさくて泣きそうになってくる。

猫を別室に移して、夜な夜なやる

面倒なので、モールディング部分が一旦乾いてくれるのを待ちながら、広い面を簡単に塗る方法はないか調べた。

すると、「コテバケ」なるものがあると知る

すぐ買ってきた。確かに「コテ」&「ハケ」の見た目だ

塗る面が絨毯みたいになってる

初めて見たのでよくわからないが、明らかになんか良さそう。使ってみる。と。

やばい!!!!キレイで早い。

塗装激ヤバアイテムだ。
ムラなく同じ調子ですーーーっと塗れる。ハケ跡がつかない!

すいー

激ヤバアイテムがヤバすぎて時空が歪み、1番広いところ3分で終わった。

感動&興奮冷めやらぬまま、乾かします。

本当に感動したので、買ってよかったリストに書いたくらいだ。

8saki.hatenablog.com

道具に助けられて、前面のグリーン塗装はスピーディーに美しく終わりました。発色よくムラなく塗れたので、一度塗りで完了。

次は裏面だ!

裏面をワトコオイルでオイル塗装

裏面です。
正直、見えない部分だし、塗装しなくてもそのままでいい気がしたんですが、ベランダからこの腰窓もどきを見ると当然裏は「木!」そのままって感じなので、何か塗りたかった。

裏面も前面と同じくミルクペイントにすると、ちょっと塗膜が厚すぎて、せっかくサッシの寸法ピッタリに作ったのに不具合が出そう。ならば、木目を活かしつつトーンを抑えるくらいでいいか。という発想です。

我が家に余っていたワトコオイル2色。 エボニー濃すぎるので、ナチュラルと1:3で混ぜました。

細かい隅などはハケで塗り、その他は布の端切れに染み込ませて、刷り込むように塗ります。

オイルは塗りムラあまりできないので雑でもOK

結構匂いが強く(嫌いな匂いではない)、乾いて匂いが取れるのも2,3日くらいかかるので、ベランダにしばらく置いておきました。

乾かし中。雨降らなくてよかった。

裏面のオイル Done です。

再び、前面にトップコートクリア

オイルの乾燥を待ちつつ、グリーンに塗装した前面にトップコートを塗りました。ツヤツヤしすぎずマットな仕上がりです。 ワトコオイルと、ミルクペイントのトップコートクリアはそこそこにおいがするので、同時に外で作業するといいです。

モールディングも一体になっていい感じ。パテで埋めたアラも目立ちません。

丸一日くらい乾かしました。

完成

完成です!非常に良い。

細かい工夫

窓ガラス衝突防止

窓ガラスに木材が触れないように、5mmほど離すように設計をしましたが、それでもぶつかった衝撃で当たってガラスが割れてしまうかもなので、硬めのフェルトを貼りました。

フェルトはAmazonで買ったこれ。1.8cm幅に切って貼ります。

窓ガラスから5mm離して、さらにフェルトを貼る

ズレ・倒れ防止に、サッシを挟み込む

ただサッシとサッシの間に板を置くだけだと、手前に倒れてきてしまって危なそうなので、サッシの太い柱部分を挟み込むような設計にしました。

おしまい

完成したあと模様替えしたのですが、それがさらにこの腰窓が活躍するようないい雰囲気になりました。めっちゃ気に入ってます。

腰壁ありきで引き立つような一角だ🪑

一生ここにいてしまう

今までは見向きもされなかったのに、模様替えしてソファが近くなったら、猫が腰壁に乗って景色を楽しんでくれたりしていてめちゃくちゃかわいい。

外が見やすいらしい