刺繍をはじめたら、楽しすぎた話

突然やりたくなって、「刺繍」に挑戦してみました。

めちゃくちゃ楽しくて、今まで以上に没頭しました。
その中で、買い揃えたものや、やってみて思ったことなどを雑多にまとめます。

刺繍について思うこと

刺繍のいいところ

  • 始めるための道具が少なく、どれも安くて手に入りやすい
  • 技が習得しやすい(奥は深い)
  • 規模が小さくてゴミがほとんど出ない
  • 完成品が薄く小さいので保存しやすい
  • 完成していく様子が目に見えてわかりやすい
  • うまくいかなくても、ほどけばやり直せる
  • 完璧主義がある程度叶えやすい。クオリティをコントロールしやすく、達成感が得やすい
  • フロー状態に入りやすい
    • ……… フロー状態:作業に没頭して我を忘れ、対象と一体になる
  • 作業中も動画視聴、音楽、Kindleなど、手以外に耳も使える
    • ……… KindleをAlexaアプリで音読してもらって耳で読書しながら刺繍するのが好み
  • レジン等の液剤を使う系のクラフトよりも身体への影響を気にしないで済む
    • ……… レジンは手が荒れていたので、手袋をしたりよく拭き取ったりと、気を遣っていた

買ったもの

最初に道具を揃えるため、いろいろ調べて買いまくる性格なので、気になったものをいっぱい買いました。

買ってよかったもの、いらなかったもの

全体の所感:お金をかけるべきところにかけたら、かなり効率よく快適にできるようになったので、やはりよい道具を買うのがクオリティ向上や上達のために大切だなと

[買ってよかった] 高い糸

主要メーカーについて

  • オリンパス(日本のメーカー)、COSMO(日本のメーカー)、DMC(フランスのメーカー)の3つが、大手の有名な刺繍糸メーカーのようです。わたしの近所の手芸店が COSMO と DMC の取り扱いしかないので、この2つのメーカーから選んでます。

メーカーごとの印象

  • COSMO
    • 静かな艶。糸はしっかりしているが繊細で柔らかめ。
    • DMCより色幅が多い気がする。絶妙な色があったりして助かる(やりたい図案や好きな色によるけど)緑色の種類が絶妙で好き。
    • 柔らかく、少し毛羽立ちやすい気がするので、長めにとって何度も布穴を行ったり来たりしてしまうとケパケパしていく(問題はないレベル)。
  • DMC
    • COSMOより、硬くしっかりした糸。比較的強めのツヤでけっこう照り照りしている。
    • 刺繍作家さんの本でDMCを使用している人は多く、本の中の図案もDMCの色番号で説明されていることが多い印象。
    • 絶妙な色がないなぁってことがちょいちょいあるので(青、グレーに感じること多し)そのときはCOSMOから選ぶ。
    • 比較的毛羽立ちづらい気がする。

両方とても品質が高いので、好みの色で選んでいいと思いました。
同じ作品内で2つのメーカーを併用しても、見た目にはまったく影響がありません。

[買ってよかった] 反った糸切りばさみ

先端がカーブになっていて、刺繍枠の裏側で糸を切るときに布と並行になってくれるところが使いやすいです。
先端使ってチョンとやるだけでとてもよく切れる。ハンドルも黒でシンプルなのがいい。

[買ってよかった] 8号針

刺繍糸は1〜10号まで針サイズがあり、数字が大きい方が針は細いし糸を通す穴が小さいです。
刺繍糸をどれくらいの太さ(◯本とり、など)で使用するかによって使い分けるようで、いろいろな本に7号針を勧めているのを見かけるのですが、それより一段階細い8号針が気に入ったのでメインで使ってます。
密度高く刺すのが好みなのでできるだけ細い針が向いていると思いました。細い針は刺すことで布側に開く穴が最小限で済みます。あと、クローバーの8号針だとギリ糸通し(後述)が入るのが良い。

[買ってよかった] 極細のチャコパーペン

図案を転写した後、見えにくい部分をこのペンで補足しています。
刺繍が完成し、ペン跡を水で消す際、綿棒では上手く消えずにインクが広がりやすいと感じたので、霧吹きで水をかけると綺麗に消えるのでそのやり方がおすすめです。

[買ってよかった] 糸通し

視力も良いので普通に糸通しできなくはないのですが、手間がかかりすぎていました。思い切って購入してみたら、かなりストレスフリーでかなり楽に。 手間とストレスの軽減が長期的に見ても価値あり、少し高いけれども投資すべきアイテム。

ただ、薄く細い金属板でできているので、糸を擦りすぎると、糸表面がナイフに当てたように少し削れて毛羽立ってしまったり、切れてしまうことがある。糸を引く際は金属板と糸が触れすぎないように丁寧に引くなど、使用時には注意が必要です。

[買ってよかった] ちゃんとした刺繍枠

100均の枠を使っていたが、円が歪んでいるので布をピンと張ったままにできず、よくたわんでしまった。

手芸店で日本のメーカーの少し高いものを買ってみたら、円の精度がよくてほとんどたわまないし、枠を締めるときのネジ状の金具がなめらかに動かしやすいです。単純な構造だからこそ、細かい精度が使い勝手に直接響く感じ。

アルファーの刺繍枠は全体的につくりがよく、ヒノキなのでしっかりしているけど軽いです(針葉樹は軽い)。
大きめな図案が好きなので、これの18cmを一番使ってるかも。18cmだと手には多少余るので15cmくらいがちょうどいいとは思いつつ。

クロエ・ジョルダーノの刺繍にも書かれていましたが、小さな刺繍でも大きな枠で行う方が作業がしやすいようです。
図案と枠が近すぎると、縫う際に布と針の取り回しが悪くなり、針が枠に当たって使いにくくなることがあるため、5cm以上は余白を確保した方がやりやすいなと感じました。

内側の枠に布テープを巻き付けて布がずれにくくする方法をとるのが基本的なよう。くっつく包帯テープを使ったらずれにくく、巻くのも簡単で良かったです。(100均にもあります)

安めのものだと、Amazonのこちらの商品を買いました。 これはブナ製で、先程のヒノキ製よりも重い木材で作られていいるためかなりしっかりしています。
持っている刺繍枠の中でも金具の重厚感があり、締める際に安定感があります。

[買ってよかった] 糸巻きカード

購入したままの束状態の刺繍糸で保管すると、色が判別しにくいなと思ったので、こちらのカードに巻いて収納してます。56枚も入ってるし、DMC純正なのでなんかいいなと。
収納についてはのちほど詳しく説明しています。

なくていいかも

[なくていいかも] いろんなサイズの針

糸の太さや何本取りかにもよりますが、フランス刺繍針は6〜8号針があれば十分と感じてるので、あんまりいろんなサイズいろいろいらないかもと思いました。

何本取りでも8号針使っちゃってます。

[なくていいかも] 激安の刺繍糸

柔らかすぎて、整っていないため、使用中に簡単に切れてしまいました。また、仕上がりもボサボサに見えるので、結局は少々高いと感じても、定番メーカーの刺繍糸をちゃんと購入する方がいいかもしれません。

ちなみに買ったのは浅草橋の布問屋で、袋に詰まったいろんな種類の激安セットでした。中国製っぽい表記で、1本20円くらいのもの。

パンチニードル作品(大量消費する、糸表面の質感があまり作品に影響しない)に激安糸を使って、普通の刺繍(そんなにたくさん使わない、糸表面の質感が作品にかなり影響する)の時に高い糸を使うようにしよっと。

学び方について

始めてから順番にやったこと

入門するにあたってやったこと、その順番

  1. 基本的な道具を買う
  2. 書店 / 図書館 / Kindle Unlimited にある気になる刺繍本をひと通り全部読み、基礎知識を入れる
  3. やりたいと思った好きな図案が載ってる本を買う / 借りる
  4. やりたい図案に指定されてる色の糸を買い揃える
  5. 基本ステッチを実践しながら、好きな図案を2,3個つく
  6. つくりながらわからなくなった部分、苦手な部分をYouTubeで調べて対処法を知る
  7. 情熱が続く限りつくりまくる

図案の本について

本屋に何件も行って刺繍本を読み漁りました。Kindle Unlimitedにもいろいろあるので無料で読みまくった。

  • 所感

    • 基本ステッチのやり方や必要な道具、コツなどが書いてあるという構成は、だいたいどの本も同じ
    • 好きなモチーフやデザインが2つ3つ載ってたら、もうその本は買いだと思った
    • 買うべき糸など詳しくない段階だったので、やりたい形や好みの色味の図案を基準として指定通りに糸を買い、2,3作品作ってみて、徐々に必要な道具や糸を広げて買っていくのがよさそう
  • 刺繍スタートキットについて

    • 基本ステッチが学べるキットも売っていて、基本ステッチを習得するためのサンプル図案が印刷済みの布が付属していたりするのですが、学習ドリルみたいで初っ端から飽きてしまいそうと思ったのでやりませんでした。
    • ある程度裁縫やハンドメイドをやったことがあって器用な方かもしれないというひとには不要かと思う。すぐ実際に好きな図案に着手してしまって、取り組みながら習得していく方が、楽しい気持ちを保ちながらできる

一番お気に入りの本

トラブルには動画を参考にする

基本のステッチで苦手なものがいくつか出てきたので、ハンドメイドYouTuberさんのコツ動画を見まくった。動画で手元を見ながら説明してくれるのはとてもわかりやすい。
基本的な知識は図案本から得て、実際にやりながら困ったことや苦手なことが発生した段階でブログやYouTubeで学ぶというのが良さそう。

  • アウトラインステッチが苦手で混乱してくるので参考になった動画

  • サテンステッチのキワがガタガタになるので参考になった動画

収納

前述の〈DMC ストレージシステム カードボード ボビン〉に巻いて、四隅の出っ張った耳ところを2,3mmずつ切ると、100均の SIKIRI 15にちゃんと入りました。

耳を切るのは2,3mm

SIKIRI 15 からはちょっとだけ出ますが、蓋はちゃんと閉まります

テンションが上がる見た目をしている

SIKIRI シリーズはだいたい1マスの内寸高さが26mmですが、SIKIRI 15の高さは少し深めで30mmなので(実寸31mmだったが)、糸巻きカードを少し切ればちょうどいい感じに入ります。

SIKIRIシリーズ。ダイソーでもセリアでもありました。
SIKIRI 15

仕切りが細かすぎると不便かなと思ったのですが、逆に細かい方が取り出すときに糸同士が摩擦でくっついていっぱい飛び出してきてしまうということが起きずに便利。4枚ずつ入ります。

いくつかつくってみた

いくつかつくってみたものと、思い知った学びや気づき。

セリアのキット

セリアの図案印刷済みのキットを買ってきてやってみました。

  • 途中で図案逸脱して、好き勝手縫ってみた。前述の水で消えるチャコパーペンで描き足しながら縫う感じ。
  • ランニングステッチ、ストレートステッチ、アウトラインステッチ、レゼーデージーステッチを多く用いて、特訓をした
  • アウトラインステッチがめっちゃ苦手だわと気づいた

海の標本

アウトラインステッチが苦手なのでアウトラインステッチを特訓できる図案をやってみたかったのでこちら。〈junoの刺繍ノート〉の図案です。

  • 黒地に薄い色の糸はアラが目立ちやすいのだと実感。ひと針ひと針丁寧にやることを学ぶ。
  • 右上のサンゴが難しかったが、ほどいてやり直すなど、納得いくまで根気強くやる姿勢を学ぶ。

幾何学模様

苦手な人が多いらしいサテンステッチを練習したいなと思ったので、サテンステッチとロングアンドショートステッチのみの図案をやってみました。〈花と幾何学もようの刺繍〉の図案です。

  • ミッドセンチュリーな色味にしてみました。色のバランスが重要なのだと学ぶ
  • 裏に接着芯を貼ってみることに挑戦。刺繍枠を締め直したりしても布が伸びてしまわないので大変有用だと理解した
  • 上手にできたので、このあとアートパネルに仕立ててみた

おしまい

これから刺繍を始めようとする方にとって、なにか参考になる部分があれば嬉しいです。

秋から年末にかけて、じつは個人的に調子が上向きでない時期だったのですが、子供のころ刺繍図案を眺めるのが好きだったことを思い出し、つい図案本を手に取ってみたら、完全に没頭してしまいました。

何かに夢中になって、楽しくて我を忘れるってこういう感覚でした。

道具を調べたり、買いに行ったりするのも楽しくて仕方なかった。
欲しい糸や道具のことが頭にチラつきながら仕事して、(リモートワークの)退勤後に近くの手芸店に急ぐ、みたいな日々をしちゃって、大変楽しい。

こまごまと何かをつくることに夢中になることで、見事に元気な心が戻りました。熱中って本当に素晴らしいことですね。

うっっっっつくしい…