〈House Bird〉のミニチュアをつくるべく、光造形3Dプリンタでつくった原型でシリコン型を取り、レジンキャストで作成してみたメモです。
3回目の今回でラスト、完成です。
ハウスバード関連の記事は3回に分かれています
- ハウスバードのミニチュアをつくる【1/3】熱溶解積層方式3Dプリンタ編
- ▲ 加工が大変で、最終品にするのはあきらめた試作の回
- ハウスバードのミニチュアをつくる【2/3】3Dプリンタ光造形レジン編
- ▲ 大きい亀裂が入ってしまい、最終品としては断念
- ハウスバードのミニチュアをつくる【3/3・最終回】両面取りシリコン型レジンキャスト編
- 💡いまここ
3回目の今回は、2回目のハウスバードを原型としシリコン型をつくり、レジンキャストで作成していきます。
適度に重くてしっかりしており、さらに加工もしやすく、非常に文句なしの美しい曲面ができました。
参考にした本
型取りの手順が詳しく説明されているし、だいたいの情報は揃っててよかったです。
P52〜72の「型取り・複製のキホンその1〜10」を読みながら工程を進めました。
P28 のプロの粘土埋めの様子もとても参考になった。
枠をつくる
型の枠を並べてシミュレーション。
枠は、〈クレオス Mr.型取りブロック2〉を使用。
原型の周りに、ストローでレジンの流れ込む道を作ります。
仕上がりのシリコン型が薄すぎず厚すぎずで考えて原型を配置すると、
内径 縦11cm × 横24cm × 厚み5cm
の大きさになりました。
粘土で半分埋める
原型を粘土で半分埋めます。
粘土で底をつくる時はけっこう力が要るので、ドライバーの持ち手部分で押し固めました。
調べると、粘土を綿棒で伸ばしてからカッターで四角く切り、枠にはめるという方法でやってた人がいて、今度からそっちの方がよさそう
粘土は〈ほいく粘土〉を使ってます。
ヘラはamazonで安かったノーブランド品。いろいろな形が入ってて、さまざまな用途に使えそう。
この形は粘土を平らにしやすいかな?とか考えながら持ち替えたりするのがけっこう楽しかった。
▼ ほいく粘土1袋を使い切ったところで、全然足りず
粘土は意外とたくさん必要で、結局、合計3袋強くらいで粘土埋め完成。
ペットボトルのキャップも埋め込んで、レジンの注ぎ口になる部分をつくりました。
この中にシリコンを流し込むので、できるだけきれいに平らにする必要があります。
三日月型のツールで細かく撫でるように平らにした後、指でこするとさらに滑らかになります。この作業は楽しい。
ダボをつくる
最後にダボをつくります。
鉛筆の裏を回しながら差し込むと、円柱状に彫れます。
わたしは深く掘りすぎてしまったので、あとあと外すときに、シリコンが離れきれなくて破れてしまいました。浅めが吉。深さは4,5mmでいいと思います。
離型剤を塗る
粘土部分に筆で離型剤を塗ります。原型の鳥さんに少しついてしまったけど、なんともなかった。
〈クレオス Mr.シリコーンバリアー〉を使用。
シリコンを流す
シリコン流し入れます。〈ウェーブ・シリコンゴム〉を使用。
体積を計算して、シリコンを用意します。
内径 縦11cm × 横24cm × 深さ2.5cm(全体の厚みは5cmだけど今回は半量ずつ注ぐ)
なので、計算上シリコンは660g必要です。
調べたら、シリコンの比重はほぼ1だそう
▼ 分離しているので割り箸でよく混ぜました。けっこう粘っこくて、力がいる。
赤いのは硬化剤。ヨーグルトにソースかけてるみたいでおいしそう
シリコン1回目
表面だけ筆でそっと塗り、シリコンを纏わせます。
あとで気泡に悩まされるので、もう少し丁寧に泡が立たないようにやればよかった。
筆はシリコンが固まってすぐ傷んでしまうので、安いものを使い捨てるしかない。
20時間くらい経ってシリコンが完全に硬化したので、ひっくり返して粘土側を剥がします。
▼ ひっくり返したところ。
粘土の上の方(底だった部分)は硬いが、シリコンと接する部分が顔を出してくると、剥がしやすくなってきます。異素材である上に離型剤がついてるため、ベロンと簡単に剥がせました。
ベリベリ楽しい。ダボ長すぎるのは反省。
粘土を剥がし終えて、つまようじなどで細かい残留も取り除きます。
シリコン2回目
2回目のシリコンを流し入れます。
実は、離型剤を塗り忘れてたのにシリコン流してしまったので、慌ててティッシュでできる限り拭き取りました。
20分くらい経って、シリコンがうっすらついてしまった部分が5割くらい乾いて(ベトつくくらい)、除去しきれない離型剤を上から塗ってしまおうということになって、残ったシリコンと塗り混ぜるような感じに離型剤を塗布しました。
やばいかなって思ってひやひやしたんですが、とくに大きな問題はなかったです。
全体で使ったシリコンの量は
1回目 660g + もう片面2回目 700g弱 = 計1350gほど使いました
シリコン型完成
シリコン2回目流し込みから20時間ほど経ったので、枠を外します。
整える
注ぎ口などをカッターや彫刻刀などで整えます。レジンを流し込む時にスムーズにいくように、道の凹凸などをできるだけ削り取って滑らかにしました。
注ぎ口と反対側の、空気が出てくる方に液溜まりをつくりました。カッターで四角く切り取ります。
レジンを流し込む
板で固定する
型が密着してズレないように、支えの板で挟みます。適当な端材でいいと思います。今回は1cm厚の杉板を使用しました。
大きめのゴムでしっかり止めますが、強すぎるとシリコン型が変形するので、適度に。
レジン液を調合する
レジンは〈ウェーブ レジンキャストEX〉を使用。
A液B液を測って、混ぜ合わせます。A液B液は1:1で混ぜるので、必要な総量の半量ずつ計量します。
合わさると反応ですぐ熱くなり始めるので注意。
▼ A液
▼ B液
混ぜます
A液をB液に入れるのがおすすめって本には書いてありました。A液の方が拭き取りやすいからだそうです。逆にしちゃった。とくに問題はなかったです。
シリコン型に流し込む
型に流し込んでいきます。空気が入らないようにそーっと注ぎ続けたいので、割り箸に伝わせてみました。
注ぎ口の反対側の液溜まりにレジンが出てくるまで流します。
▼ 反対側の液溜まりにレジンが出てきたので注ぐのをやめます。
流したら軽く机にトントンと落として、空気を抜きました。
120秒で硬化が始まるようです。
▼ 透明だったレジン液が、白っぽくなってきた。
5-10分で固まり切るようですが、今回つくる鳥さんは幅が太く(1番厚いところで6cmくらい)、10分経ってもまだしっかり熱を持っていて熱かったので、熱が引くまで待ちました。
シリコン型をはずす
流し入れてから20分後、触ってみて熱を感じないので外してみることに。
ご対面!思ったよりかなりいい感じに出来上がってた。
磨き、塗装
バリを取る
バリをざっくりはさみで切ってから、さらに細かくニッパーで切っていきます。
▼ しっぽの先の角だけ大きめな気泡が入っていたらしく、欠けていました。あとでUVレジンで直す予定。
足の部分はピンバイスで仮の穴を開けます。
型から外したばかりだとうっすらわかるんですが、あとでやすりで削っていくうちに消えてしまうので、今のうちにわかりやすく仮の穴を開けておきました。
仮穴は〈ゴッドハンド ドリルビット〉の1.2mmで。
研磨する
やすりをかけて表面を滑らかにしていきます。
普段ジェルネイルを趣味としているので、紙やすりよりネイルファイルのほうがコントロールしやすいため、目が粗いうちはネイル用やすりを使ってました。
半円型ネイルファイルの 80/120番とか
スポンジのバッファは局面を滑らかに削りやすかったです。100/120とか120/180の種類を使用しました。
80(ネイルファイル)、120(ネイルバッファ)あたりでバリ部分を平らにし、
↓
180(ネイルバッファ)
↓
400紙やすり
↓
600紙やすり
↓
800紙やすり
で全体を滑らかにしました。削り時間はトータル40分くらいでした。
尻尾の細い先に気泡が発生してしまった部分をUVレジン〈REJICO ハードタイプ クリア〉で埋め、やすって整形し直しました。
細かい気泡を埋める
削ったら気泡が出てきたので、爪楊枝でレジンで埋めました。
埋めたあとを平らにすべく、さらにやすりがけ。
400番
↓
600番
↓
1000番
やすりがけするとまた気泡が見つかる、の繰り返しで、結構キリがなくて心折れそうになった。
0.5mm以下の穴は、塗装で埋まるだろうというこでそのままにしました。
真鍮棒の足をつける
全体が滑らかになったら、先に仮で開けておいた足の穴をピンバイスで開け直し、穴を完成させます。
1.5mmの真鍮棒を入れたいので、〈ゴッドハンド ドリルビット〉の1.2mmでまず仮の穴をあけてから、1.6mmで同じ場所をもう一度掘ります。
足はØ1.5mm〈HIKARI 真鍮丸棒 BM995-2〉を使用しました。
当時はヨドバシが一番安かったかも HIKARI ヒカリBM995-2 [真鍮丸棒 2×995mm]
真鍮棒は硬いので喰切でないと切れません。
切った真鍮棒の断面は少し鋭くなるので、金属やすりで整えました。
エアブラシで塗装
サーフェイサーの後、全体を黒色に塗装して完成です。
塗料は〈ガイアカラー 032 アルティメットブラック〉を使用。
完成です!
おしまい
積層型ハウスバードのミニチュアをつくる【1/3】熱溶解積層方式3Dプリンタ編 - ダイナミック気晴らしで満足いかなくて、光造形レジンハウスバードのミニチュアをつくる【2/3】3Dプリンタ光造形レジン編 - ダイナミック気晴らしでさらに失敗し、完成無理なんじゃないかと心配してたのですが、無事にクオリティ高く完成できてよかった😮💨